90年代テクノスーパースター列伝 Vol.2 Joey Beltram:Part 2

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こちらは連載のpart 2です。Part 1はこちらからどうぞ!


90年代テクノスーパースター列伝

Vol.2 Joey Beltram:Part 2



90年代初期、その匠とも呼ぶべきリズムプログラミングを軸に
幅広いバリエーションのトラックをリリースして
常にテクノシーンをリードしてきた
NYのテクノヒーロー、ジョーイ・ベルトラム。

そのベルトラムの軌跡を追うPart 2は
90年代中盤から末にかけてのベルトラムの
活躍と変貌を追っていきます!

それでは早速スタートです!


JOEY BELTRAM 黄金期編

アーティストとしてのポテンシャルを魅せつけつつも
様々なスタイルのトラックを生み出してきた頃を初期とすると、
初期で磨き上げたスキルを経てた上で
作風を確立していったのがこの中期。


その作風を決定的にしたのがドイツの名門
トレゾーからリリースした傑作アルバムがこちら。

Joey Beltram – Places (’95 Album)”

R-29273-1177715612

予め作ってあった曲のストックから集めるのではなく、
この為だけに全曲作り起こしたこのアルバム。
ベルトラムとしても初めての試みであったようで
気合が入っております。

その結果出来上がったトラック達は
サウンドはより硬質にソリッドに深化。
(以前もその傾向はあったものの更にね。)
リズムもそのグルーブ感の巧みさはのこしつつも
音数を削ってよりミニマルな方向にシフトしていって
まさに90年代中盤のベルトラムを象徴するような
アルバムに仕上がってます。


そんなアルバムからシングルカットもされたこの曲を紹介!

Joey Beltram – Game Form(’96)



ぬお〜〜〜〜〜っかっちょいい!
いやぁ、日本ではこのオリジナルよりもジェフ・ミルズが
mix CDで使用していたロバートアルマーニのリミックスの方が
人気も知名度も高かったりするんだけど、
改めて聞き返すとこのオリジナルもかっこ良いのなんの。

曲の根幹部分はストレートなリズムで
非常にソリッドでありながら
そこに絶妙な跳ね方の粘るようなシーケンスが加わる事とで
とんでもなくファンキーなグルーヴに。
とにかくファンキー!頗るファンキー!
こりゃ痺れまっせ!

このアルバムの成功で更に注目を浴びたベルトラム。
今度はmuteの傘下のnovamuteが目をつけます。

そしてJB3名義でシングル3枚とアルバム1枚をリリースします。
(因みにJB3とはベルトラムの本名ジョーイ ベルトラム三世の略だそうです。)

jb³ ‎– Close Grind (’96 Album)”

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こちらのアルバムはベルトラムが自分のDJの為に作っていた
リリース予定の無い曲を集めたアルバムとの事。
アルバムとしての世界観や統一感では
やはり一から作られた「places」に部がありますが、
トラックのバラエティーとクオリティーは全く引け劣りません!


でもって、アルバムに先駆けてリリースされた
先行シングル収録の名曲がこれ。

JB#- Believer(’96)


いやー、かっちょいい。
クールにリフレインされるベースラインは
やはりベルトラム印の硬質なサウンドなれど
上モノのシンセはアシッドとも言えるサウンド。
そのアシッドシンセが、ジワジワビルドアップされる
リズムの展開に合わせ変化してくトラックは
アシッドのベルトラム流再解釈といった所ですかな?
まさにフロアのツボを心得たまくった素晴らしい展開です。

Wireのライブでこの曲をやった時は
発狂するかと思うぐらいテンションが上がったモンです!
(いや、周りの目撃者によると発狂してたという声が…)



矢継ぎ早にリリースがされた96年が終わると
ちょっとリリースラッシュは落ち着きます。
これだけの良作を連発するとDJもリスナーも
新作を待ち焦がれます。

そんな中、待望の新作はTresorのコンピアルバムに
収録という形で世に放たれます!
それがこちら。

Joey Beltram – Ball Park(’97)


後にスティーブ ビックネルとDJラッシュのリミックスを
加えてシングルカットもされたこの曲。

今作のポイントはかなり歪んだぶっといリズム!
バットでぶん殴られている様なキックスネア同時4つ打ちの
響きはフロアでも抜群の破壊力。
更に追い打ちをかける音波系シンセの緊迫感が
これまたかっちょいいですな。

当時のベルトラムのクリアなサウンドからは
大分かけ離れたローファイなサウンドが独特で
それがまた魅力になっています。
ひょっとするとこの時期作られたトラックではなく
未発表曲だったのかもしれませんね。

この曲を最後にベルトラムは長い沈黙に入ります。
このままリリースも無く90年代は終わって行くなかと思われたなか
99年、突如ベルトラムは自身のレーベルを立ち上げリリース。
しかし驚きの変貌を遂げたのです!


JOEY BELTRAM 大転換期編


満を持してスタートしたベルトラムのレーベルSTX。
その記念すべき第一弾としてリリースされながら
ファンを驚愕させたシングルがこれ。

Joey Beltram – Arena(’99)


片面一曲しか収録しないという、かなり強気な仕様でリリースされたこの曲。
当時のハウスシーンで流行っていたフィルターディスコの事を知ってか知らずか
今までのカッチカッチの硬質テクノのイメージから一転
ファンキーなチョッパーベースやらオケヒット等
ディスコの要素をふんだんに取り入れたトラック。

なんて書くと単なるフィルターディスコになってしまいそうですが
トラックを聞けばそこで留まるベルトラムでは無い事がヒシヒシと伝わってきます。

ディスコサンプルを使いながらもベルトラムならではの
カッチカチかつ驚異的に抜けの良いテクノなリズムは健在。
そのリズムとディスコテイストなサウンドが組み合わされた
トラックは、フィルターディスコの範疇から抜け出た
あくまでもテクノのアーティストによるディスコの再解釈、
言わばディスコテックとでも言うべきトラックに仕上がってます!


この方向転換にはファンも大分驚かされたのですが
その予兆は前述のJB3のアルバムの中にありました

JB3 – Curb (’96)


アルバムの中で唯一異例のディスコトラックだったこの曲。

改めて聞き返すと後のSTXのリリース群に比べるとまだ
ベルトラムらしいディスコテックの域までは達してはいないものの
DJの間ではかなりの好評で、この曲の存在と
世のフィルターディスコ人気がが追い風となって
ベルトラムにディスコトラックな方向にシフトする
決断をさせたのでは?と思うのであります。(断言)



というわけで、この「Arena」はテクノシーンでも爆発的大ヒットとなりました!

この時代、前年にリリースされたクリスチャンスミスの「Gold Rush」
同年にリリースされたDJ Hellの「Copa」そして翌年リリースされた
デイブ クラークの「The Compass」と、テクノ界の人気アーティストが
ディスコテックの名曲を多数リリースして
ちょっとしたジャンルが生まれ定着していきました。

おりしも東京では石野卓球氏のパーティーLOOPAが大人気。
卓球氏は勿論、Tasaka氏も含めふたりともテクノは勿論
ジョルジオ・モロダーよろしくなデンデケベースをフューチャーした
いわゆるエレディスコやらフィルターディスコもバンバンプレイしてました。

そんな事もあってディスコテックはディスコ好きにディスコの
バリエーションとして人気になったのは勿論、
ディスコとハードテクノを繋ぐ役割としても大変人気を誇っていました。


この頃ベルトラムはmix CDもリリースしています。
それがこちら。

Joey Beltram – The Sound Of 2 AM(`99 Mix-CD)

R-3203-1308845862

全体的にディスコテックのウエイトが多めながら
絶妙な塩梅でテクノにも振れるそのさじ加減。
素晴らしい傑作MIX CDですな。

当時レコ屋で働いていた身としては随分と売上的にお世話になりました(笑)
それだけ売れたのも納得の内容です。
(amazonを見たら意外に安かったので興味ある人は即ポチるべし!)


と、ここでちょいと脱線してベルトラムのDJのお話。

初期のベルトラムのDJはとにかく自分の曲を只管かけるという事で有名でした。
ジェフ ミルズなんかも自身のトラックを多数プレイしていましたが
ベルトラムはその比じゃないくらい自分のトラックを使っていて
その量、全体の8割強は自分の曲だったじゃないかという程。

まあ、当時ベルトラムが本格的にライブをやろうとすれば
現在のようにPC一台でなんて事はまず無理で
莫大な量の機材を持ち運ばないといけないので、
本当はライブやりたかったけど大変なので
その代わりにこんなDJをしていたんじゃないかと邪推してしまいます。

が、そんなベルトラムのDJスタイルも徐々に軟化していって
自身の曲が占めるウエイトも段々減っていき、
縛りの無いより自由なプレイに変化。
すると自然とのDJの評価も高まりアーティストしてだけでなく
DJとしてのベルトラムの人気は非常に高くなったのでありました。
その頃丁度リリースされたのがこのMix CDだった訳ですな。

でも、これは個人的な意見で異論がある人もいるかも知れませんが
ベルトラムがDJとして人気が上がりキャリアを重ねるにつれて
アーティストとしての創造性は徐々に下がっていったと思います。
(特にこうやって90年代のDJ中心じゃなかった頃に作られた
作品を振り返ってみるとそう思わざるを得ないのよね…。)
やっぱり曲を作らなくてもDJだけでも十分に食っていける状況は
色々弊害もあるのかなぁ…。なんて思っちゃいますな。



と、ちょっと脱線しましたが「Arena」の大ヒット以降も
自身のSTXからリリースを中心にディスコテックを連発。
テクノ界で支持されたのは勿論その評判はハウス界の
フィルターディスコ好きにも浸透して様々なアーティストの
リミックスも手がけました。

そんなリミックスの中でも人気が高かったのが
数々のフロアアンセムを世に送り出してきた
UKの名門Bushからリリースされたこのトラック。

Filter Science – Darkness Falls Joey Beltram Rmx (’01)



この曲を聞いて「おや?どこかで聞いた事あるような?」と思った人
なかなかの古株ですなぁ。
この元ネタになってるのが上記クリスチャン スミスの大ヒット曲
「Gold Rush」のギターサンプルを大々的に使ったトラック。

一つのループネタだけでゴリ押ししちゃう
かなり力技なトラックながら
それでもベルトラムサウンドに仕上げられちゃうと
文句無しにかっこ良く聞こえちゃんですよね。
ずるいっ。

そして01年には同レーベルの記念すべき100枚目の
リリースとしてJB3名義でリリース。

JB3-Slice (’01)


片面はロゴが掘られたマーブルイエローヴァイナルという
記念盤に相応しい豪華仕様でリリースされた本作。

ディスコサンプルこそ使っていないものの、
そのベースラインはドナ・サマーの永遠のフロアアンセム
「I Feel Love」のそのままパクったベースライン。
それが永遠ループする上記リミックスと手法的には
大きく変わらないものの、やっぱりベルトラム印の
サウンドクオリティーとツボを心得た展開でやられちゃうと
途端フロア栄えするトラックに仕上がってしまし
これまたフロアで大ヒットしてしまいます。
わかっちゃいるけど踊っちゃう、もう理屈を超えたカッコよさですな。
やっぱりテクノにおいてサウンドのクオリティーは
改めて重要なんだなぁと思い知らされます。


その後も暫くベルトラムはディスコティック路線のまま
積極的にトラックをリリースして行くのですが
90年代から大分離れていってしまうとキリが無いのででこのへんで。



このように90年代を駆け抜けたベルトラム。
その後はどうなったかと言うと
時代の流れに合わせてよりミニマルなテクノに
変化しつつ、リリースのペースはかなり少ないものの
今も現役でリリースを続けているのですが…

まあ、正直に言ってしまえば大ファンである僕にしても
現在のベルトラムはちょっと寂しい感じと言わざるを得ませんな。
サウンドのクオリティーは相変わらず
ベルトラム印なれど、オリジナリティーはと言うと
以前のような圧倒的な物ではなく
時代に擦り寄っているかの如く聞こえてしまうのですよ。

まあ上でも書いておりますが
DJだけでもバリバリ食っていけるビックネームになってしまって
曲作りに対するハングリーさが減ってしまったのだと思いますが
ハードミニマルが形を変えてリバイバルしている今こそ、
時代をリードするような次の一手をバチーンとかましてほしい物です。


と、最後は大分愚痴っぽくなってしまいましたが、
主要な名曲も紹介できた事ですし
ジョーイ ベルトラム編これにて終わり…


ではなく、この流れで紹介しきれなかった
名盤珍盤をガンガン紹介するパート3に続きます!


暫しお待ちを!



Author Profile

DJ U

DJ Uでぃーじぇーゆー
とにもかくにもテクノが好き。
ミニマル~クリックがテクノならハードテクノもテクノ。デトロイトだってダブステップだってエレクトロだって、オイラに言わせりゃ皆テクノ。
今の時代の空気を取り込みつつも、そんな”テクノ”を新旧関係なく紡いで新しい響きを作れたらなぁと。「最新ミニマルでストイックなグルーヴを…」みたいなのが好きな人は他にいくらでも良いDJがいるはずなのでそちらをどうぞ。
「四の五の言わず、テクノが好き」って方。一緒に楽しい時間を作りましょう!

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