さてさてASETブログ開始のエントリーでも書いた通り
この『90年代テクノスーパースター列伝』では
90年代に活躍したテクノアーティストやらレーベルを紹介して
アナログ盤をDiggった事の無い
(要するに中古盤をひたすら探す作業って事ね。)
ビートポート世代のDJへの一つのガイドになったらいいなぁ
と思うわけです。
未だに配信されてない曲も多いと思うので是非探してみてね。
レコ屋の100円コーナーにはまだまだ90年代の名盤がわんさか残ってまっせ!let’s Diggin!
その記念すべき第一弾は、次回のASETで大復活を果たす北海道のユニット、7th Gateがセンセーショナルなデビューを飾った人気レーベルRotationとそのレーベルオーナーで90年代に絶大な人気を誇った大御所Dave Angel(デイブ エンジェル)についてです。
まずはデイブ エンジェルについて
90年代テクノスーパースター列伝
Vol.1 Dave AngelとRotation:前編
UK出身の黒人アーティストデイブ エンジェル。
90年代にテクノのDJをやっていてその名前を聞いた事が無い人がいたら逆に逢ってみたいぜ!
…と、言いたくなるくらい絶大な人気を誇ったまさに大御所という言葉にふさわしい名アーティスト。
そのキャリアのスタートとなったのがユーリズミックスの大ヒット曲「Sweet Dream」のブートリミックス。
Angel – Sweet Dreams Nightmare Mix (Eurythmics)
アーティストの許可を得ないで勝手に原曲をサンプリングして
でっちあげちゃったこのトラックは(要するに海賊版リミックスですな)、
元々、友達やら仲の良いDJ配るためにこっそりとホワイト盤でプレスされました。
それがフロアでかかり始めるとあっという間にDJ間で話題となり方々のクラブでプレイされるようになって大評判に。
普通こうなるとユーリズ〜本人から大目玉をくらいそうなもんですがそこはUK。
あまりの出来の良さに公式なリミックスとしてリリースされ、一躍デイブ エンジェルの名前は広まる訳です。
この合理的かつ融通の効き方日本の音楽業界とは大違いですな。
そんな華々しいデビューで注目を集めたデイブ エンジェルを周りが放っておくわけも無く、すぐに快進撃は始まります。
まずは、91年にベルギーのR&Sから本人名義でリリースを開始。
その勢いで94年にはUKのライジングハイから変名のサウンドエンフォーサー名義でリリース。
この「R&S」と「ライジングハイ」は「ワープ」とあわせて
初期テクノシーンにおけるの三大レーベルと言われるぐらい人気のレーベルだったので、
そのうち2つからリリースしてしまうって事が、いかに人気があったかを物語ってますな。
で、肝心の作品はと言うと、初期の作品は時代の影響もあってレイブ〜トランス色が強いトラックが多かったんだけど、
リリースを重ねるにつれてデイブ エンジェルならではのオリジナリティーがメキメキと覚醒していきます。
まずは、なんと言ってもその流れるようなリズムのグルーヴ。
そもそものBPMが早いというのも勿論あるけど、細かく刻んだハットのリズムを軸に繰り出されるリズムは
ただ単にBPMが早いだけの凡百のトラックとは一線を画す圧倒的なグルーヴ感とスピード感。
(そんなんなので、レコ屋のポップには「疾走感あふれるリズム」という言葉が定型句のように踊ってました。
ええ、僕も書きましたよ。毎度の如く。)
そんなリズムだけでも強力なのに、そのアグレッシブなリズムとは対照的ともいえる
デトロイトテクノに通じる美しいシンセサウンドとフレージング(ここ重要)が加わるわけです!
この二つの要素でデイブ エンジェルのスタイルは確立。
世のデトロイト好き、かつフロアトラック好きはのハートをがっちりと鷲掴にして、
一躍テクノシーン屈指の人気アーティストになりましとさ。
というわけでそんな頃の曲を一曲紹介。
Dave Angel – Take Off
これは94年にリリースされた名盤「In Flight Entertainment」に収録された名曲「TAKE OFF」
早いリズムの刻みながら僅かに跳ねさせたリズムのファンキーなノリにデトロイトっぽい綺羅びやかなシンセがすんばらしいですね。
特にアクセントで入るスネアがファンキーさを高めてますな。
いやー、古びない古びない。
95年には待望のフルアルバム「Tales Of The Unexpected」をリリース。
これが、テクノをベースにしながらも、ジャズの要素を大幅に取り入れた意欲作。
即フロアで使えるトラックはもちろん、
リスニングとしても聞き応えのあるトラックも多数でテクノシーン内外から評価を受け、
偶然にも同年にリリースされたロバート フッドのアルバム「Nighttime World Volume I」と並んで
ジャズの要素を見事に取り込んだ傑作テクノアルバムとして
当時は大いに話題となりました。。
アルバム以前のデイブの作品からもジャズっぽいテイストは
そこはかとなく漂ってはいたものの
ここまでズージャーなアプローチをしてくるとは
ファンも驚いたもんですが、実はデイブ・エンジェル先生。
父親がバリバリのジャズ・ミュージシャンで、
本人もマイルス・デイビスやチャーリー・パーカーが大好きとの事。
どうりでリズムの打ち込みがそこら辺のテクノアーティストと違うなぁと
思ってたら納得のサラブレッドっぷりです。
(納得納得)
Dave Angel – Big Tight Flares
これはそのアルバムの2曲目「Big Tight Flares」。
JAZZの記号とも言うべきフェンダーローズの
エレクトリック・ピアノや、生音サンプル系のリズム音を
見事にテクノの要素の中に落とし込んだ傑作トラック。
ジャズっぽさを出したければジャズネタをサンプリングして使えば誰でもそこそこそれらしいトラックになりますが
こうやってジャズのジャズたる要素を抽出してテクノにコンバートするという手法は、本当にジャズへの造詣が深くないと作れませんな。
テクノ度を上げすぎてもジャズ度を上げすぎてもなりたたない絶妙なさじ加減。いやー今聞いてもかっちょええ。
そしてこのアルバムに後にリリースして大ヒットとなったのがコレ。
ound Enforcer – X
これは96年にサンドエンフォーサー名義でリリースされた”Icon Ep”に収録された一曲。
リズムに上記アルバムのジャズな要素を微妙に匂わせながらもテクノ度をガンガンあげた感じ。
このシングルは日本でもめちゃめちゃヒットしてリリース当時、
テクノのクラブに行って一度もかからない日はないんじゃ無いかっていうくらいあらゆるDJがプレイしてましたね。
そして97年には2ndアルバムをリリース。
このあたりからジャズに続いてファンク〜ディスコに寄せたトラックも披露するようになって
世のフィルターディスコブームにも乗っかり
(アルバム自体はもうひとつといった感じだったものの)
支持層は更に広がり人気には更にヒートアップ。
その2NDに収録されたヒット曲がこれ
Dave Angel – Funk Music
もう、どディスコ。ひたすらディスコ。
シカゴのアンセム「Move Your Body」らかサンプリングした「Music〜」のヴォイスサンプルが
一度聞いたら忘れられない名曲で
テクノ~ハウスシーンを越えてヒットしました。
で、流石にディスコ過ぎたかな?と思ったのか
この曲のシングルには本人によるよりテクノなリミックスも
収録されこれまたヒットしました。
Dave Angel – Body Punch Funk
これは99年にデイブエンジェルのレーベルRotarionから
リリースされたスマッシュヒット「Knockout EP」より。
1stアルバムでジャズをテクノに落とし込めたようにディスコ〜ファンクっぽさを絶妙にテクノに落としこむ
技は流石。音のそれぞれの要素は見事にディスコなんだけどデイブエンジェルらしさが健在なのがすんばらしい。
このシングルは大評判でその続編とも言える「The Knockout The Rematch」もリリースされました。
余談だけど、この頃リリースされたデイブエンジェルのmix CD「39 Flavours Of Tech Funk」は
デイブのディスコ路線の集大成とも言える傑作Mix CDなので中古で見つけたら絶対ゲットする事をオススメします!
こうやって90年代を駆け抜けたデイブエンジェル。
00年代はPファンクのジョージ クリントンとコラボレーションしたりしつつも、ちょっと活動はおとなしめだったのですが、
最近ではケン イシイとのコラボアルバムを出したりクリスチャン スミスのトロニックからリリースしたりと
また活動に力を入れてきた模様。
ベテランならではのタイムレスで最高にファンキーなリリースをを期待したいですな。
と、デイブ エンジェルの紹介だけで大分長くなってきたので本日はこのへんで。
デイブ エンジェルの名曲は山ほどあるのでDiggってる時にその名前を見つけたらすかさずゲットだぜ!
次回「後編」ではいよいよデイブ エンジェルのレーベル
Rotation(ローテーション)のお話です。
乞うご期待!
Author Profile
- とにもかくにもテクノが好き。
ミニマル~クリックがテクノならハードテクノもテクノ。デトロイトだってダブステップだってエレクトロだって、オイラに言わせりゃ皆テクノ。
今の時代の空気を取り込みつつも、そんな”テクノ”を新旧関係なく紡いで新しい響きを作れたらなぁと。「最新ミニマルでストイックなグルーヴを…」みたいなのが好きな人は他にいくらでも良いDJがいるはずなのでそちらをどうぞ。
「四の五の言わず、テクノが好き」って方。一緒に楽しい時間を作りましょう!
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