この記事は、前編・後編に分かれております。前編はこちら。
90年代テクノスーパースター列伝
Vol.1 Dave AngelとRotation:後編
ルーツであるジャズのフレーバーを隠し味に
その圧倒的なスピード感のリズムと
デトロイトテイストなシンセサウンドで
90年代を駆け抜けた大御所デイブ・エンジェル。
前編ではそのデイブ・エンジェルの歴史を
おさらいしましたが、後編ではそのデイブのレーベル
ROTATIONの功績をひもときましょう!
Dave AngelのレーベルRotation
93年にデイブ本人のリリースで幕をあけたローテーションは本人のリリースはもちろん、
今でも活躍しているような人気アーティストから、
ちょっと意外なアーティストまで多数のフロアヒットを生み出した大人気レーベル。
レーベルのカラーはというと、やはりデイブエンジェルのカラーと同じく
デトロイトテイストかつ疾走感のあるトラックが中心なんだけど、
そこだけに留まらずデイブエンジェルがDJで使いそうなトラックをリリースする感じでリリースにも意外に幅があります。
まずは、いかにもローテーションなリリースから紹介しましょう。
いまじゃすっかり大ベテランになってしまった生粋のデトロイト大好きっ子ことヴィンス・ワトソン。
その名前が注目を集めたのは、このRotationからリリースされてからでした。
Vince Watson – Parisian Dreams
これはrotationからの第二弾シングル「2nd Innovations EP」に
収録された名曲「Parisian Dreams」。
まさにデイブ エンジェル直系とも言える
走りまくりのグルーヴとデトロイティッシュサウンド。
その後、ヴィンスは更にデトロイトに傾倒して
今じゃや本家デトロイトのアーティストにも認められる
数少ないアーティストになりましたね。
本人名義のシングルはもちろん変名のNico Awtsventin名義でもRotationからリリースしていて、
その第一弾シングルは石野卓球氏のとカール・コックスのMix CD(DJ Fね)にそれぞれ一曲づつ収録されて日本でも人気の高い一枚。
そしてデイブ・エンジェルとの共作やスプリット盤もリリースした大の仲良しさんのジェミー アンダーソン。
Jamie Anderson – Green Nova
同レーベルからの第一弾シングルに収録されている「Green Nova 」がこの曲。
ジェミーもまたデイブ エンジェル直径のサウンドながらデイブのファンキーな部分をより濃く受け継いだ感じ。
この二人はまさにデイブ エンジェルチルドレンとも言うべきデイブ エンジェルに次ぐレーベルの顔ですな。
そしていよいよ今回のエントリーの最大の目玉でもある7th gateのお話
リリース当時ローテーション好きの多くがローテーションの待望の新作として買い
(当時レコ屋は試聴機が無く、好きなレーベルはレーベル買いするのが当たり前だった!)
「おお、やっぱりローテーション最高!」と感動しながら聞き終えた後
ふと盤をターンテーブルから持ち上げクレジットを見てみる。
すると、そこには小さい文字で日本人らしき二人組みの名前が!
「え〜〜〜〜〜〜!日本人なの〜〜〜〜〜!」と、何人DJが驚いた事か!
今でこそ海外のレーベルからリリースする事が珍しくなくなりましたが
この頃はインターネットも今ほど回線も太く無く、
デモを送るのもCD-Rじゃなくて(まだCD-Rもそんな普及してる時代じゃない)
カセットテープやDAT(デジタル録音ができるプロフェッショナル向けテープ)
に録音した物を、はるか海を越えレーベルまで送っていた状態。
特に人気のあるレーベルだと、それこそ世界中から
デモテープがわんさか送られてくる始末。
その山のなかから発掘してもらうだけでもラッキーなのに更にリリースまで至るのはホンの一握り。
だから日本に限らずレコードをリリースするという事は強力な運とトラックの実力が問われるめちゃめちゃハードルの高い事だったわけです。
そんな状態なので、はるか遠いヨーロッパのレーベルからリリースする
日本人なんて本当に限られていたし(多分当時は20組もいなかったんじゃないか?)
しかも、それがあのデイブ エンジェルのレーベルからと言う事もあり、
更に更に東京では無く北海道のアーティストという事で
情報も伝わってこなくテクノDJの中で7th Gateに対する興味はいやがおうにも高まるわけですな。
このように注目を集めた7th Gateですが、
それはあくまでもおまけ。
注目を集めた最大のファクターはなんといっても
ヨーロッパのアーティストに比べてまったく引け劣らなかったそのトラックのクオリティーでしょう!
というわけで7th gateの一枚目のリリースがこちら
7th Gate – After The Silence
7th Gate – Route 4 (Original Mix)
その軽快なリズムはまさにデイブ エンジェルイズムをバッチリ継承。
Kaitoにも通じるようなpadシンセの繊細なハーモニーが素晴らしいafter the silenceも
華やかなシンセとベースラインの組み合わせが夢見心地なRoute 4もどちらもかっこいいでしょ?
デイブ エンジェルの良い所を受け継ぎつつも、
日本人ならではの繊細さが加わったようなすんばらしいトラックですな。
リアルタイムでこのリリースを聞いていた世代とするとASETでそのライブが見れると思うと
そりゃぁ〜涙ものってもんですよ。オーガナイザーのフロッピ先生が熱烈なラブコールを送りまくったのも納得って感じですな
って、大分7th Gateが長くなっちゃいましたね。
(まあ、それだけ思い入れもあるって事でご勘弁)
続いてはローテーション以外でも活動してる
ちょっと意外なアーティストのリリースを紹介
まずはオランダの跳ねまくりファンキーキングLaid back luke
Laidback Luke – Waiting For The Sun
90年代に、とにかく鬼ファンキーに跳ねまくったリズムのトラックで一部から絶大な人気を誇ったレイドバック ルーク。
ローテーションからのリリースもやっぱり跳ねます跳ねます(笑)
でも、ちょっと気を使って上物がローテーションのカラーにあわせてきれい目になってる所は意外とジェントルマンなんですな。
でも、そんな収録曲のなかでも一番普段のリリースに近かったのがこのA面の「Waiting For The Sun」。
その鬼ファンキーなリズムに撃沈される人続出でフロアでも大ヒットでした。
お次はThe Advent
The Subjective (cisco ferreira & colin mc bean) – critical
デイブエンジェルとはまた違った意味の高速グルーヴで知られるアドヴェント。
デイブエンジェルが流れるようなファンキーグルーヴだとしたらアドヴェントはすべてをなぎ倒していく暴走列車のごとき大爆走グルーヴ。
でも、そのスピード感はデイブエンジェルにも響いたのか晴れてローテーションからリリースとなりました。
リズムは完全にアドヴェント節な感じなのですが上記のルークと同じく
上物はちょっと気を使ってレーベルに寄せてるのですが、アドヴェント度が高すぎて全然寄り切れてないのがご愛嬌。
そしてThe Hacker
The Hacker – Just Play
90年代にはDJヘルのジゴロからリリースしたミスキトゥンとのコラボシングルが
世界的ヒットになり、その後も自身のレーベルGood Lifeからのリリースも
ヒットした人気アーティストのハッカーさん。
ローテーションからのリリースは一枚きり、かつ収録曲もオリジナル以外はデイブとジェミーによるリミックスで実質一曲だけのリリースなんだけどいやー、これがかっちょいいのなんの。
デトロイトっぽいというよりは初期のニール ランドストラムのようなシカゴを感じさせるラフかつファンキーなリズム&サウンドに
疾走間まで注入したようなトラックは、上記のレイドバック ルークの「audio〜」と並んで
ローテーションの二大ファンキートラックと私が勝手に決めさせて頂きます(断言)
というわけで、まだまだ名盤たくさんのローテーションですがその魅力の一部でも伝わったらうれしいですな。
ローテーションはラベル部分のデザインが共通なんで中古盤も探しやすいのでみんなでDiggりましょう!
というわけで第1回Dave AngelとRotationこれにてお開き。
そうそう肝心な宣伝をかかないと(汗)
上でも書いた7th Gateが大復活するASET26が3/1にやりますよ。
宜しくお願いします!
詳細はイベント詳細ページをチェックだぜ!
2014/3/1(sat) ASET26@中野ヘビーシックZERO
ちなみにテクノスーパースター列伝では紹介してほしいアーティストやレーベルを募集しています。
僕のツイッターアカウント(@DJ_U__)宛てにお気軽にリクエストください。
Author Profile
- とにもかくにもテクノが好き。
ミニマル~クリックがテクノならハードテクノもテクノ。デトロイトだってダブステップだってエレクトロだって、オイラに言わせりゃ皆テクノ。
今の時代の空気を取り込みつつも、そんな”テクノ”を新旧関係なく紡いで新しい響きを作れたらなぁと。「最新ミニマルでストイックなグルーヴを…」みたいなのが好きな人は他にいくらでも良いDJがいるはずなのでそちらをどうぞ。
「四の五の言わず、テクノが好き」って方。一緒に楽しい時間を作りましょう!
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